【体験型観光が日本を変える11】年末も問題山積 藤澤安良


 2016年も間もなく幕を閉じることになる。中東やアフリカの政情は厳しく、難民は増え続け、ヨーロッパ諸国にも大きな影響を及ぼしている。大方の予想を覆した米国の大統領選挙。弾劾訴追案が可決され、職務停止を受けた韓国大統領。北方領土問題に進展の期待がかかるロシアのプーチン大統領の訪日。オバマ大統領の被爆71年を迎えた広島訪問。開戦から75年を迎えたハワイ真珠湾への首相訪問など、世界は大きく激しく動いている。日本もその渦に巻き込まれていくことになる。

 その日本は、難問山積である。ガラケーと呼ばれる従来型携帯電話を愛用する私も肩身が狭いぐらいにスマホ(スマートフォン)が普及しているが、そのスマホやパソコンに新手のウイルスとして侵入するランサムウェアやサポート詐欺などが日本を狙っている。

 地球の人間同士が殺し合いをし、あざむき、奪い、おとしめ合うことが後を絶たない。これだけ文化が進んだ世の中で、見栄、比較、保身、立場を気にするばかりで、人間の心が進化していないと残念に思う。

 日本の地方は、厳しい次の時代を迎える。TPPは米国の次期大統領の離脱発言から、その先がはっきりしないままであり、農山漁村の食料生産現場では生業として成立する人は少なく、後継者不足の問題は、その根本原因が除去されない限り解消されないであろう。日本の地方の存続が危うい中、地方は何をすべきか、都市住民ができることは何があるのか考えて行動したい。

 インバウンド客が地方に向かいつつある。世界無形文化遺産である和食に期待しているが、温泉旅館も、ホテルも、地産地消に徹しなければ、また地方の食を提供できないならば、魅力は半減する。

 地方の第3セクターの宿が特に危うい。出来合の加工食材や冷凍食品など、郷土色が感じられない食事ばかりでコストカットに走る。おいしい食に巡り会うことは滅多とない。指定管理者が、全くノウハウがない素人集団か、指定管理料を充てにし食い物にする意識の低い専門業者か、いずれにしても、笑顔も、言葉遣いも、身だしなみも、融通も、基本的なサービスができていない。仕事をやらされている感満載で、業績向上を目指す姿勢はみじんも感じられない。地元民ですら不満がある宿を改善できない行政では未来はない。味は必須条件だが、本物の旬の食材が並ぶ食事が、誘客拡大の条件となる。地方色、魅力ある郷土食、おもてなしの心あふれる宿なら誰もが泊まってみたくなる。

 宿だけではなく、旅の目的提案が不可欠だ。自然、食、農林水産業、工芸民芸品づくりなどが体験プログラムとなり、すべての自治体でその推進が可能となる。都市から田舎への旅の動きを起こすことが地方創生や地域活性化に貢献する。純粋に地域を応援する返礼品のないふるさと納税をするのもよい。正月には交通が便利になったのになぜか遠くなった、日本の心があるふるさとへ帰ろう。

161217h

 
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